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『装丁家』

『装丁家』

【概要】

企業の機密やオーパーツに関わる情報を収集し、紙の書籍に編纂し保管する集団。

知識の集積を尊び秘匿を悪とする思想を持ち、収集した情報を商品として取引している(活動資金確保のため。情報を直ちに必要とし、危機的状況や貧困に陥っている者に対しては無償で情報を提供する事もある)ため、後ろ暗い秘密を有する大企業の多くから排除対象とされている。
情報媒体として物理書籍を好むのはデータ媒体の改竄可能性を嫌うのと、多くの文明において本という媒体が知性の集積と共有の為に用いられてきた歴史を尊んでのもの。また、後述する『装丁家』発足のきっかけに本が関わっている事も理由のひとつ。
情報収集には独自の情報網や企業へのスパイ活動、所有するオーパーツを利用する。

その構成員は中層に住む学者・研究者が大半で、また上層大企業の職員や宗教家等も在籍する。立場こそ違えど、一貫した思想のもとに繋がった彼らの結束は固い。
構成員は各々の表の顔における自然な格好をしているが、『装丁家』の集会時には個人の特定を防ぐため古めかしい白いローブを纏っている。企業の襲撃を避けるため集会は下層を転々として行われ、固定のアジトは存在しない。

【歴史】

その起源は惑星旧文明遺構専門の考古学者ラ・セタ・ゾシ(現在の『装丁家』リーダー)率いる研究グループ。研究者達と彼らの唱えた思想に感化された者が集まり自然発生的に発足した組織であり、具体的な機構と言うよりはサークル活動的である。
ゾシ達はヴィルーパ旧文明の遺跡を探索中にオーパーツ『僻地王の遺剣』とそれの鎮座する謎めいた大部屋を発見。部屋には旧文明の文字が記された、当文明における本と思わしき記録媒体が数多く残されており、研究隊はこの施設をいわゆる図書館だったと考えその調査や記録媒体の解読を試みるも、直後に十三連合からの介入が入りグループは図書館含む遺跡への立ち入り権限を失ってしまう。
ヴィルーパに眠る秘密を解く鍵のひとつへ近付いたこと、そしてその鍵を上層企業が独占し、封じ込めていることを知った一同は『僻地王の遺剣』を利用し既に封鎖の進んでいた図書館から命からがら数冊の本を回収。その解読を進めるとともに、本を象徴とし企業の情報統制に反抗する組織の発足を決意した。
なお、解読の進捗は残念ながら芳しくない。『装丁家』が情報の集積を求めるのは、本の解読に必要な資料を揃えるのも理由のひとつである。

【観測者との関係】

その性質から、秘密の多い十三連合からは特に敵視されている組織だが、観測者とは活動資金や企業戦力による『装丁家』攻撃の動向情報を対価に、オーパーツの詳細・所在や観測者の求める企業機密の提供、『僻地王の遺剣』を利用した局員の支援を行うなど協力関係にある。
情報統制上等の観測者の在り方は『装丁家』の思想とは反するものの、観測者との接触時に半ば脅しに近い取り決め(観測者は研究者・思想家の集いがたかが一つのオーパーツで優位に立てるほど甘い相手ではなく、『装丁家』はそれを受け入れざるを得なかった)が行われ現在の関係となっている。特に『僻地王の遺剣』を利用した「運び屋」としての支援はその過程で様々な情報を又聞きできるため、装丁家側としてもWin-Winの活動ではある。彼らもまた、綺麗事だけでは生き残れないヴィルーパの一部に過ぎないのだろう。

【保有オーパーツ】

『僻地王の遺剣』

宇宙開発時代以前のものに近い意匠をした、錆びついた剣。いわゆるロングソード。鍔に8本の古釘が収納されている。
ラ・セタ・ゾシの研究グループが発掘したものであり、この力ある遺物の発見が『装丁家』発足に至る思想のきっかけとなった。
外見以上の硬度を有するものの刃自体は錆のため切れ味が悪く武器としては心許ない。だが秘めた機能は健在であり、何もない所で振ることでその場に空間の「裂け目」を作り出すことができる。
裂け目はただ開いただけではすぐに消えてしまうが、どこかに古釘を打ち込んだ状態で裂け目を開いた場合は古釘の地点に同じような裂け目が生まれ、この両者間が接続される。そして接続された裂け目へと身を投じることで、別の裂け目の位置へと瞬間的に移動することができる。なお、閉じる際は裂け目に向けてもう一度剣を振ればよい。
製造当時は対応する釘が数百本もの数存在していたという記録が残っているが、長い年月の中で失われたのか現存するのは8本のみである。