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超孔礼渡(チョウコウレイト)

超孔礼渡(チョウコウレイト)

超孔礼渡は「ちょうこうれいと」または「ちょうこうれいど」と読み、渡来時の訛りによりどちらも正しいとされている。
通称としては「チョコ油」が使われている。
超孔礼渡は約200年前にヴィルーパ外から商業船によって持ち込まれた樹木、及びその果実を言い、チョコ油と言えばその果実の醗酵油のみを指す事が多い。

機械生命体の星間行商人が「土と水と光さえあればどこででも育つ!果実は腐らせれば良質な油になる!」と売り込んだものである。
枝葉を付けず縦に伸び、幹に空いている大量の孔の内部で光合成をし果実を実らせる。
果実は道具を用いなければ割れないくらい頑丈な外皮に覆われているが、腐ると果肉が溶けて油になり、外皮はそのまま容器として扱えるため通常は外皮ごと果実を保管し、使用時外皮に孔を空けて使用する。

渡来から150年間は下層であろうと土・水・光さえ揃えば放置しても油を調達出来る植物として工業用油供給用に栽培されてきた。
ときおり興味本位で果実を口にする者もいたが、土や水から吸い上げた毒素と強烈な酸味により数日間嘔吐を繰り返すため約50年前までは食用不可として扱われていた。
しかし、約50年前に下層の一部セクター群で起こった大飢餓の際、超孔礼渡の実で飢えを凌ごうと試みる者が多発し、その際嘔吐を繰り返す者達の中に一部幻覚や多幸感を訴える者もいた。

大飢餓終息後、現地の実効支配者が超孔礼渡の実を調査したところ、果肉ではなく実の中央にある球状の種子が可食である事、種子の色の濃さに比例した幻覚作用がある事が判明した。
実効支配者が種子を薬物として流通させた際D.G.に摘発され、超孔礼渡の危険性が露見。ヴィルーパ全体で原則無許可での栽培を禁止し、研究機関や産業利用栽培のみを目的とした有資格者による栽培のみが現在は行われている。

研究機関の調査により、果肉や種子に土壌及び水から吸い上げた毒素を濃縮している事、毒素が無ければ種子は白くなり、毒素が濃ければ黒褐色になる事が判明。
無毒化した超孔礼渡の種子は白く、外皮の薄っすらした苦さと中身の甘さが伴い依存性の強い甘味となる。
上層・中層はもちろん下層ですら色の白黒に関わらず流通禁止の禁制品となったが、上層のどこかでは愛好家が夜な夜な愉しんでいるといううわさが数十年前から中層・下層でときおり流れている。

下層で採取された、有毒な黒褐色の種子は、外皮の壮絶な苦さと中身の形容し難い甘さで生半可な味覚は破壊され、強烈な幻覚作用により脳の幸福感を感じる器官すべてが悲鳴をあげる多幸感を数分間与えたのち、強烈な嘔吐感と頭痛を数日間与える。
驚異的な依存性を持ち、興味本位で口にした者の多くが半月と経たず中毒症状で落命する。

比較的美味な味とは裏腹に、下層の薬物中毒者ですら「チョコの種をやるようになったらおしまい」「命が惜しければ真っ黒なチョコの種だけは食うな」と口を揃えて言う程に依存症状は重く、致死量は少ない。

現在は超孔礼渡の種子を指した隠語「白種・茶種・黒種」と、中層・上層にて流通している超孔礼渡の種子をモチーフにしつつ超孔礼渡の種を一切用いずに開発された安心安全な高級甘味菓子「チョコ・チョコレート」の2種類がヴィルーパには存在している。
近年は種子の方を指して「チョコ」と呼び、あえて混同して扱う下層民の存在が中層・上層で「チョコ」を楽しんでいる愛好家やチョコレート料理人達の頭を悩ませている。