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電脳性異肢誤動作症

電脳性異肢誤動作症

電脳性 異肢誤動作症
【でんのうせい いしごどうさしょう】

(上・中層での通称:異肢症)
(下層での通称:あべこべ)

概要

ヴィルーパでの義体化技術が未熟であった頃から現在まで存在する、普遍的な義体不良症状のひとつ。
自身の身体感覚と付近にいる他者や設備の身体感覚が混線し、誤って動かしてしまう症状全般の総称。

過去では設計やファームウェアに問題のある製品を使用する事によるトラブル由来の症例が多かったが、現在は主にセキュリティ対策が万全でない中層~下層の義体化市民や粗悪な義体に発症し、症状そのものに致死性は無いものの滑落などの事故を誘発し死亡する事例が存在する。
中層市民の一部は、異肢症の検査時に行われるシステムの完全スキャンに伴うプライベート情報の閲覧を嫌がるあまり下層に逃亡する事がある。

原因

大きく別けて2種類存在し、旧式や粗悪な義体由来の動作不良によるものと電子ウィルス性のものが存在する。

義体由来の場合、多くは設計上の欠陥・セキュリティコードの流用などにより発生する。

電子ウィルス由来の場合不審なデータのインストールなどで感染し、感染者のセキュリティにバックドアを作成され外部操作されたり正常でない動作を誘発され発生する。
特に悪意ある電子ウィルス性である場合、視覚情報を盗み見る形で企業機密やプライベート情報を閲覧したり、危険な作業中に故意に誤動作を行わせたりするなどの重大なインシデントに発展する恐れがある。

症状

義体を動作させる際に他者の義肢を動かしてしまう、あるいは動かされてしまう。その際、自身が動かそうとしていない側の四肢を同時に動かしてしまう自己完結型の症例も存在する。
四肢に限らず視覚聴覚などの五感に症状を生じる場合もある。

機器不良によるものと電子ウィルス性のどちらにも、大きく別けて信号強度の強いマスター型と信号強度の弱いスレイブ型があり、信号強度がより強いものがマスター型となり下位の混線した対象を意図せず動かしてしまうという仕組みで症状が発現する。
また、有人義体ではない無人設備などに繋がる場合もある。

検査・診断

義体そのものが粗悪である場合、特定プログラムを使用することで容易に義体をオーバーライドする事ができるため、その可否でもって診断を行う。
電子ウィルス性のものはシステムの完全なスキャンを行うことで発見することができる。

また、電子ウィルス性異肢症のセキュリティインシデントを恐れる中層企業においては、敢えてセキュリティの甘いローカル回線で動作する産業用ロボットアームを常設し、定期的に動作させることで症状発症者を早期発見する対策を行っている。

治療

義体由来である場合はファームウェアアップデートや義体の交換を行うことで症状を回復することができる。
電子ウィルス性由来である場合はシステムの完全スキャンを行い原因部位や改竄されている部位を特定し、ワクチンプログラムを投与する事で回復することができる。

予防・治療後の注意点

義体のファームウェアは常に最新状態に保つ。怪しいフォルダやソフトウェアを安易に自身にインストールしない事で予防効果が期待できる。
稀に異肢症発症時の独特の感覚が癖になってしまい、自らの意思で異肢症を再発させる場合があるため、定期的な検査とカウンセリングが必要である。