Allegro
概要
Allegro(アレグロ) とは、ヴィルーパで行われるスポーツの一種である。
主に中層と下層をつなぐ連絡縦坑で行われ、その上から下までの指定されたポイントを通過しながら、いかに速く下り切るかという競技。
速さを競う「フリーフォール」 、手数を競う「バウンスボール」 、コースの難度を競う「テンタクル」 の3種目に分かれている。
基本は一人で競技し、身体改造はプレイの中継と監視・ルート提示のための脳部インプラントを必須とし、その他に縛りはない。
握力強化や四肢の増設など多くの改造が見られるが、「3カウント以上の滞空の禁止」というルールのため、飛行装置やそれに類する改造は極端に少ない。
全星アレグロ連盟による公式大会は中層全域を巡るツアー形式で随時開催されており、その様子はネットで同時中継されている。
他のスポーツのように定点カメラやドローンによる三人称配信も根強い人気があるが、選手の五感をリアルタイムで追体験できる一人称同時配信はこの競技ならではの楽しみ方と言える。
競技中の感覚データは随時配信されると同時にアーカイブされ、公式販売もされている。
各地の縦坑ごとにランキングが作成されており、何箇所かで上位に名を連ねるようなトップランカーの感覚データは大人気商品となっている。
このデータ販売の利益と会場・配信の広告収入、選手へ提供される行動食サンプル (配信や販売データにも載るため広告としての需要が高い) の権利が大会の運営資金である。
上記のように連盟による安全な大会が昨今のメジャーとなっているが、中には「より奇をてらった」「他では見れない」データのため、はたまた単にスリルを求めて、無許可でAllegroを行うものも少なくない。
そういった「野良Allegro」のデータは裏で高値で取引されるとともに、中層・下層の円滑な交通を妨げる根深い問題となっている。
歴史
黎明期
とある裏感覚共有サイトに一本の感覚データがアップロードされた。
「自由落下」と題されたそれは、とある配信者が連絡縦坑に機材を落とし、それを回収しようとして滑落してしまう一部始終を記録したものだった。
その感覚データは瞬く間に人気となり、類似の感覚データが多く作られていくが、多数の問題を抱えていた。
事故の感覚データの再生は再生者の死亡リスクも高く、後追いの作品も滑落事故のデータにショック防止のフィルターを掛けたものが多く、オリジナルと比較して刺激は著しく減衰してしまっていた。
Allegro Rapida (もっと速く)
Allegro Rapida (アレグロ・ラピダ) は「自由落下」フォロワーの感覚データで最も販売数を伸ばしたシリーズ。
身体改造なしで連絡縦坑を縦横無尽に下るそのデータは、一切のフィルタを加えることなくその恐怖とスリルを記録し切っており、各地を巡りそれぞれの縦坑ごとにルート解説や注意点が加えられていた。
当時この感覚データを真似するユーザーが多発し、全星アレグロ連盟が設立されるまでにヴィルーパでは30,894件の滑落事故・346件の保安会社との乱闘事件が記録されている。
その後、全星アレグロ連盟によって統一ルールの施行と協議会の開催が行われるようになり、現在のAllegroの形となっていった。