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ヴィルーパ (PLANET VILLPER)

ヴィルーパ (PLANET VILLPER)

古い惑星を、宇宙戦艦として運用できるほどに改造して生み出された星。
ヴィルーパには古くに滅びた文明の遺産 (オーバーテクノロジー) があり、その一部を利用することで惑星そのものが移動できるようになっている。

惑星の改造には観測者傘下の企業による協力があったとされる。
また、宇宙港の一部は観測者により建造され、その運営に役立てられている。

惑星内の都市構造については、星を輪切りにしたように位置する3つの層に大きく分かれており、その位置関係から『上層』『中層』『下層』と分類される。
一般に、上層は「未来層」、中層は「一般層」、下層は「スラム層」とそれぞれ表現されることもある。

観測者は上層に本社ビルを持っているが、出先機関として中層・下層にも事務所を置いている。


都市構造

上層

惑星内の大手企業ビルが建っている層である。
物理的にも権威的にも、ヴィルーパの最も上に位置するレイヤー。

詳細:上層

中層

北半球の中央に位置する、主要なレイヤーの中で一番表面積が広い層である。
空には惑星を囲うように作られたデジタルサイネージの空と、一部の住民のみが住める上層の壁が見える。

ここに住んでいる局員も多いだろう。

詳細:中層

下層

ヴィルーパの赤道付近に位置するレイヤー。
事件や厄介事が多く、一定のルールの下で成り立っている層である。
一部の宗教団体が都市を牛耳っているといううわさもあり、あまり治安は良くない。

観測者の局員の中には、ここ出身の者もいるだろう。

詳細:下層

地下

ヴィルーパの南半球全域の総称。
資源が豊富な領域とされ、下層の住民はここで資源類を採取・売却することで生活している。

外周部では一般的な資源が採れるが、惑星中央へ進むにつれてオーパーツ等が採掘可能になっている。
中心部分は危険であり、また下方へ行くにつれて重力が強くなるため、下層の住民でも基本的に近づかない。

地下深層

地下の中でも特にヴィルーパの深部のことを指す、未知の領域。
噂では深層に到着したという話があるが、具体的に到達したとされる人物は確認されておらず、証明できるものもない。

下層が形成されていく過程で、オーパーツを発掘した者の間で流れた噂に尾ひれがついて独り歩きしている状態であり、実際にそこにたどり着いた者はいないとされる。
しかし、いずれ誰かが到達するであろう。


システム

天蓋

ヴィルーパの北半球全土を覆う巨大構造物。
ヴィルーパ都市部を覆う半球状の構造と、その内面に張り巡らされたディスプレイで構成されている。

ディスプレイには空が投影されており、普段のヴィルーパ民が見る空は作られた映像となる。
一方、下層から空を見上げることは出来ない。下層民にとっての空は横に広がる景色である。

ディスプレイは可動式であり、特別な場合に上層の直上を開くことで実際の宇宙を観ることができる。
虚構ではなく現実を観ることができるのは、上層における特権のひとつとされる。
中層の一部地域からもこれを観ることは可能であるが、該当する地域はその人気から異常なほどの地価になっている。

構造上、天蓋の開く箇所を下層から見ることは一切できない。
下層民にとっては、ディスプレイに映し出される空だけが現実である。

ヴィルーパ外観

重力制御リング

外周リングのうち最も内側にあり、ヴィルーパの重力制御に用いられるもの。
オーパーツの解析によって得られた重力制御技術が利用されている。

ヴィルーパ周辺に対する異常重力の影響を抑え、周辺宙域における宇宙船航行の安定化や、巨大建造物への悪影響を緩和する役割を担う。
これがない場合、他の軌道リングなどは設計想定外の歪みにより破壊される可能性が高いとされる。

またヴィルーパ自体を均一な球として扱えるため、航行時の安定性を増す効果も持つ。

重力制御に付随する機能として、リング内のヴィルーパは自由に自転することができる。
恒星系内にヴィルーパが逗留する場合、天蓋の開放と合わせて上層民は自然な昼夜の移り変わりを楽しめる。
サマーシーズン到来といった雰囲気になる場合もあるようだ。

宇宙港リング

ヴィルーパ外側の水平方向に設けられた、宇宙港として機能するリング。

様々な文明と接触するヴィルーパにおいては、星内の規格に合わない宇宙船も受け入れる必要がある。
主な問題としては通常の宇宙港とサイズが合わない、動力源がヴィルーパ内において使用禁止のものである、惑星内で使用できない構造を持つことなどが挙げられ、これらを解決するために宇宙港リングが利用される。

検疫施設なども置かれており、初接触する文明からの来訪者などは相互の安全性を確保するために一時隔離される。

推進機リング

宇宙港リングに対して垂直に位置するリング。
ヴィルーパの航行に使われる推進機が係留されている。

ヴィルーパ自体が航行する際には、係留されている推進機ユニットが宇宙港リングを経由して移動され、星の後方に集約された状態へ移行する。

LS³ 大規模空間サーベイシステム

LS³ – Large Space Survey System
【エルエススリー】

平時におけるヴィルーパ内の各種エネルギー量の測定を行うとともに、オーパーツ「大鳥居」による転送現象を検出するシステム。
探査装置が軌道を周回し、常に複数の装置が相互にデータ送信を行うことで観測を行う。

探査装置は惑星外殻の外側・重力圏に配置されており、このことで計器は著しい重力異常の影響を受けず、かつ惑星全体をカバーできることが特徴となっている。

探査装置間のデータは完全な光速でやり取りされているが、このデータが大鳥居による転送に巻き込まれた場合、時空間のひずみによって微細な受信時間のズレやデータ自体の破損といった現象が起こる。
このようなデータ異常があった場合、中央集積ユニットへ到達時刻の誤差・データの破損具合が送信され、全探査装置からの受信情報をもとに転送の位置や規模・転送された対象が絞り込まれる。最終的には現場周辺の光学センサーを介して特定し、結果は観測者のサーバーへと送信される。


重力

ヴィルーパは惑星を輪切りにしたような形でそれぞれのレイヤーが位置しているが、この各層に対し垂直に重力が作用するようになっている。

重力は上層・中層・下層の全体に発生しており、発生源についてはヴィルーパの地下にあるという事以外は判明していない。
発生源の発見者には賞金が出るとの噂があるほど謎に満ちている。

上層・中層では安定性の高い重力安定装置が各地に配備されており、ヴィルーパ全体に発生している重力差を一定の数値に安定させている。
下層には重力安定装置がないため全域で重力バランスが崩れているが、街などの住民が多い地域は比較的安定しているとされる。


移動手段

ヴィルーパにおける各層の間での移動手段。

上層 ⇔ 中層

認証キー系のエレベーターや、貨物については工業用の大きいエレベーターなどが利用される。

中層 ⇔ 下層

所々に関所が設けられており、そこで入場できるかどうかの判断をしている。
移動経路は下へ行くにつれて急な階段になっていく傾向がある。

古くに作られた抜け道などが存在するとされ、一部の組織が企業の目を盗むために使用している。

上層 ⇔ 下層

公的には、上層と下層の間を直接的に移動する手段は存在しないとされる。

しかし、下層のどこかには上層へ繋がる道があるらしいとの噂も流れている。
下層では人がいなくなるのが日常茶飯事だが、もしかすると…


ヴィルーパの通貨

上層・中層での取引

ヴィルーパ統一通貨『ルーパ』が主に流通している。その他の星外貨幣もあるにはあるが、主要な取引で取り扱われることは稀。
また、大金の処理では電子マネーで取引が行われる。

下層での取引

各地に設置されている関所の付近では、他の層と同じくルーパによる取引が主流。

関所から離れるに従い、半導体素子や基板などによる物々交換がみられるようになる。
この素子や基盤には、下層独自の統一規格によってそれぞれ価値が組み込まれているとされ、値段の誤魔化しはできない。

ヴィルーパの経済

ヴィルーパにおいては、交易をはじめとした星外との経済活動も行われる。

ヴィルーパからの基本的な輸出品として、オーパーツ含む資源輸出やそれらの加工品が挙げられる。
資源については、オーパーツの発掘において副産物的に取られた鉱石資源が主とされる。

それだけであれば工業国のようにも見えるが、ヴィルーパでは農産物の生産も盛んである。
中層には生産区域があり、ごく一般的な野菜や果物が広大な畑に実っている光景も目にすることができる。

下層にも生産区域のようなものは存在するが、そこにあるのは痩せこけた土地と枯れ木の如き作物である。
上・中層と下層とで同じ作物を育てた場合、同じようには育たないというのがヴィルーパにおける農業の常識とされる。

また、その他の公にはできない取引として、異常生態をはじめとする危険生物なども他製品に紛れて港に出入りしている。
あるいは、意図的にそういった品目を流通させている企業が存在するのかもしれない。


ヴィルーパの言語

一般的にヴィルーパ内で使われているのは交易共通語『テスラ語』である。
ヴィルーパに住んでいる人々のうち、半数ほどはこの言語を使って生活しているとされる。


一方で現代のヴィルーパは様々な所から人が流れてきたり、あるいは紛れ込んでいるため、多種多様な言語が飛び交う中での意思疎通は難しい状態であった。

しかし、とある科学者によって発見された鉱石『コミュニストーン』がこの問題を解決した。
これはヴィルーパ内で採れる結晶状の鉱物であり、これを装着することによって言葉が通じない相手とも意思疎通する事が可能となった。

『コミュニストーン』は主に下層でよく見られる紫色の結晶。
これが体に触れている状態で発した言葉を電気信号に変え、話している相手が持つ『コミュニストーン』に伝達する事ができる。
伝達された信号は聞き手の持つ結晶によって装着者の認知している言葉に変換され、これにより相手の発話内容を理解する事が可能となる。

結晶の大きさによって信号の処理能力が変わり、イヤリングほどの大きさなら2~3人の言葉を同時に理解できるのが目安となる。
上層・中層では純度の高いものが使われており、翻訳度が高い分だけ高価である。

下層で使われているものは純度が低く、訛りの強い言葉などの翻訳精度は下がるものの安価に利用できる。
極端な例では、辺りに落ちている結晶を使って意思疎通を図る下層民もいるほどである。


関連項目